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【大阪で唯一!名水百選にも選ばれた湧水】 あのウィスキーにも使われる!水無瀬神宮 離宮の水とは?

要約

以前紹介した「サントリー山崎蒸留所」の最寄駅から約15分。(最寄駅は阪急京都線「水無瀬駅」)境内に山崎蒸溜所でのウィスキーづくりにも使われる日本100名水「離宮の水」が湧き出る水無瀬神宮をご紹介します。大阪府島本町に位置し学業成就やスポーツ上達、盗難除け(防犯)などにご利益があるそうですよ。

離宮の水、SNS映えの風鈴、石川五右衛門、国宝とキーワードがてんこ盛りの水無瀬神宮

水無瀬神宮へは、車だと171号線から北へ入る道がお勧め。

JRの山崎駅からだと西国街道を東方向に歩き、サントリー山崎蒸留所も超えて、スーパー万代付近の水無瀬神宮の標示がある角を曲がります。

入り口は砂利が敷かれた参道に大きな鳥居と一般的な神社の作りですね。そこにいくつか看板が立てられています。

主祭神は和歌の聖歌で文武両道の神様「後鳥羽上皇」

主祭神は和歌では歌聖と仰がれ「新古今和歌集」の中心とも言える後鳥羽天皇。流鏑馬や蹴鞠に長けていたりと文武両道であったことが語られています。

ご利益はそんなことがあって学業成就、試験合格、スポーツ上達などがあるとのこと。

天皇家を祀る神社に多い、菊の紋が神紋。これには後鳥羽上皇が自身の刀剣にも菊花を刻むほどで菊花を好まれていたことが大いに関係しているようです。

ここでは華道洗心流が興され、神宮はその華元としても知られており、毎年献花展が催されます。

水無瀬神宮の始まり

平安時代貞観年間に惟喬天皇の別業地であった景勝地に、後鳥羽上皇が水無瀬殿を造営、こよなく愛し水無瀬離宮と称されていました。

後鳥羽天皇の離宮は淀川の右岸にあり、歴史物語『増鏡』には、上皇自ら京都から船で淀川を下られ、たびたびお越しになったこと、当時の離宮の様子が描かれているそうです。

「えもいはずおもしろき院づくりして、……はるばると川にのぞめる眺望いとおもしろくなむ」

『増鏡』より

当時、離宮では管絃や歌の会、狩りや刀剣の鍛作なども行われていたそうで、平安貴族たちの風雅な様子に思いを馳せることができる場所となっています。

後鳥羽上皇といえば鎌倉幕府の執権北条氏に対して討幕の兵を挙げられた承久の乱が有名ですが、結果的に関東の大軍に敗れ、後鳥羽上皇は隠岐に、上皇の第3御子順徳上皇は佐渡に、第1御子土御門上皇は土佐に流され、そこで崩御されました。

崩御された後鳥羽上皇の左右の御手掌を捺した御遺詔により、1240年(仁治元年)、水無瀬離宮を担当していた臣下の藤原信成・親成親子が離宮の旧跡に御影堂を建立し、上皇を祀ったことが水無瀬神宮の始まりです。

信成一族はその後水無瀬氏を名乗り、その一族は明治以後も長く続いています。

最初は「法華堂」、世に「水無瀬御影堂」と呼ばれており、仏式混淆の行事が行われていたようですが、室町中期1494年(明応3年)、後土御門天皇から、水無瀬宮の神号を賜り、
さらに、1873年(明治6年)に正式に神道形式とし官幣中社に昇格、水無瀬宮と称し、同時に承久の変で後鳥羽上皇と同じく配流されていた順徳上皇と土御門上皇を配祀する。1939年(昭和14年)に後鳥羽天皇七百年式年に当たり官幣大社に列格し、現在の水無瀬神宮と改称され、神宮号を賜りました。

※戦後は社格が廃されましたが当時「神宮」は神社の中でも格式の高い神社のことを指しました。全国に24箇所ありますが大阪府においては唯一の神宮であります。

例祭 12月7日
後鳥羽天皇祭 4月4日
土御門天皇祭 11月13日
順徳天皇祭 10月14日
秋季講社大祭 10月第3日曜
月次祭 毎月1日、20日
松囃神事 1月3日(夕刻)

御神水は日本名水100選 「離宮の水」

訪れるなら見逃せない名所として、大阪で唯一、環境庁の「名水百選」に選ばれた「離宮の水」をいただけるスポットが!ちなみに手水舎は国の登録有形文化財に登録されています。

天王山を源とする淀川の支流、水無瀬川の伏流水を井戸から汲み上げており、千利休も好んで使ったとされるなど古くから名水とされていました。

この水は神饌として用いられた神聖なもので飲用にも適しているため一般に開放されている取水口には蛇口がついていて、その場で飲むもよし、汲んで帰って家でお酒を割るのに、お料理に、飲料水にと使い道豊富!夏場に駅から歩くと結構喉が乾くのでオアシス的な癒しが味わえます。笑

後水尾天皇より水無瀬神宮へと下賜された境内の茶室・燈心亭(国指定重要文化財)では毎年三千家(表・裏・武者小路)の各家元によって、この井戸水を使った献茶式が催されます。

地元の人が水を汲みにくるほどで、雨でも水汲みの参拝客が途絶えないことがあるようです。

※「離宮の水」取水時間 6:00~17:00(1人20ℓまで)
給水設備のメンテナンス中は取水が停止されるので島本町HPでの確認をお勧めします。

水無瀬家が上皇から賜った重要文化財の茶室(燈心亭)

社殿の奥には、後水尾上皇ゆかりの茶室燈心亭(重要文化財)があります。

茶室は水無瀬家が上皇から賜ったとされており、三畳台目の席と、勝手を並べた構成で、、繊細な意匠が随所に見られ、江戸初期における貴族(公家)好みの代表的な茶室として知られています。

茶室見学には申し込みが必要です。(5名以上500円)

この燈心亭をデザインしたかわいい土鈴も売られているとか!

“招福の風” 夏の涼を誘う約700個の風鈴 夜バージョンも要チェック!!

水無瀬神宮では、島本町で若い世代の流入が増えたこと、近隣への遠慮から風鈴を飾らない世帯が増えたことを受けて、少しでも暑さの慰めにと、”招福の風”と名付けられた境内に風鈴を飾る取り組みを、2017年から初めています。

昔は風鈴は災いを祓い健康と幸福を呼ぶ音色としてお祓いで使われていたようで、それにあやかって短冊に願いを書いて風鈴に吊るすことができるようです。(2枚まで、500円)

風鈴越しに客殿や境内の光景を見られるのは夏限定!9月9日の重陽の節句までは飾り、その後は残暑など気候の様子を見て延期されることもあるようです。

最近はあまり見かけなくなった風鈴もここにはなんと約700個も吊られている!風でちりんちりん〜と一斉に鳴り出す音は、懐かしさもあり、あたり一面涼やかな空気に包まれます。

最近はライトアップもはじまり夜に訪れるのもお勧め!

 

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*** #大阪府 #水無瀬神宮 こちらは名水百選に選ばれた「離宮の水」が湧き出ていることで有名です。 夏の間は風鈴が約700個飾られていて、涼しさを感じれます。 . @tadashi04042000 さん 素敵なお写真ありがとうございました💓 . ************************ 旅先で撮った素敵な写真に #rakutentravel を付けてシェアしてね♪ 厳選してこのアカウントで紹介させていただきます! ************************ . #楽天トラベル #旅 #旅行 #旅に出よう #旅行好きな人と繋がりたい #日本 #travel #trip #japan #instagramjapan #IG_JAPAN #japantrip #lovetraveling #lovers_nippon

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離宮の水と向かいの屋根付きベンチのある東屋は離宮の水を飲む人を眺めたり、本殿周辺の風鈴を眺めるのにもお勧め!

天下の大泥棒もそれほど大きな手でなかった?石川五右衛門の手形

大阪府指定重要文化財、桃山時代に作られた神門の右柱には、名刀を盗みに入ろうとして様子を窺っていた石川五右衛門が社殿に祀られた神威により門内へも入れず、やむなく立ち去ったときに残した手形が残っています。

文禄年間(380年前)の大盗・石川五右衛門が当神宮神宝の大刀を盗もうと数日間忍びうかがいしも、神威にうたれ、足一歩も門内に入れず、この門柱に手形を残し立去ったと伝えられる(この門、薬医門造りと称す)。

石川五右衛門の手形説明文より

 

昔はもっと手形の形が白くはっきりと見えていた。という声が地元の方からあったようですが。現在はどこに手形があるのかが確認できないほど薄くなっているため金網で守られています。

見難いので、はっきりと手形だとはわかりにくいですが天下の大泥棒もそれほど大きな手でなかったということは言えそうですね。

*これに由来する防犯お守り「盗難除け護符」も買うことができます

水無瀬神宮所蔵の駒は作者と製作年のわかる最古の将棋駒

鳥居の正面左側には水無瀬駒発祥の地の石碑があります。

水無瀬駒は今から400年以上前、水無瀬家13代能筆の水無瀬兼成卿が駒の銘を書いたもので、作者と製作年のわかる最古の将棋駒として、関連資料とともに町指定文化財第1号に指定されています。また現在の将棋の駒に書かれる書体は彼の書いたものです。

*水無瀬兼成卿は、700組以上もの将棋駒を製作し徳川家康も彼の駒を愛用したとか。
*「中将棋」:大きめの盤で行われる敵味方合わせ計92枚(現在の将棋は40枚)もの駒を使用し、敵から取った駒は「取り捨て」という独自ルールが当時愛用されていた。

滅多に見られない国宝「紙本著色後鳥羽天皇像」をはじめとする重要文化財

水無瀬神宮には、国宝展などでしかお目にかかることのできない国宝の紙本著色後鳥羽天皇像をはじめ、他にも多くの重要文化財などがあります。

閲覧希望の方は特別な催しなどでのみしか公開されませんので注意が必要です。

本殿の隣、桃山末期に建造されたという客殿は、入母屋造、桟瓦葺で、重要文化財の指定を受けています。豊臣秀吉が寄進し家臣の福島正則に命じて造営したと伝えられています

国宝

紙本著色後鳥羽天皇像
後鳥羽天皇宸翰御手印置文
※大山崎町歴史資料館に複製があります

重要文化財

・後鳥羽院置文案文
・ 後鳥羽院宸翰消息
・ 後村上天皇宸翰願文

町指定文化財

・水無瀬駒 (みなせごま)
・象戯圖 (しょうぎず)
・将棊馬日記(しょうぎこまにっき)

文武両道の後鳥羽上皇にあやかったお守りが学生にも人気!

  • 学業成就守(2種類)サイズ小:500円 御守袋有り:800円
    *スポーツ上達に限定したものはなし。
  • 後鳥羽上皇の和歌絵馬「見渡せば山本かすむみなせ河 夕は秋と何思ひけむ」
  • 後鳥羽上皇の和歌扇子:2500円
  • 社紋の十六弁菊御紋が刺繍された「健康守袋」(紺色と朱色の2色):800円
  • 石川五右衛門の手形の伝説より、盗難除札「後鳥羽院御尊影」:500円

アクセス

〒618-0011 大阪府三島郡島本町広瀬3-10-24

参拝自由
※茶室「灯芯亭」の拝観:往復ハガキまたは電話にて1週間以前のご予約、5名以上から500円

拝観時間:9時〜17時

075-961-0078(水無瀬神宮)
JR京都線「山崎駅」、「島本駅」 から各徒歩18分、12分
阪急京都線「大山崎駅」「水無瀬駅」から各徒歩15分、10分

駐車場:参拝者は無料(鳥居横)
名神高速・大山崎インターより車で約5分

まとめ

天王山、大山崎山荘美術館、宝積寺などハイキングに最適なエリアです。水無瀬神宮の徒歩圏内には、サントリー山崎蒸溜所や西国街道沿いに点在する寺社、楠正成が息子・正行と別れた史跡・桜井の駅跡などもあるので、参拝と合わせ歴史散歩を楽しむのもオススメです。