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【STUDIO D’ARTISAN ステュディオ・ダ・ルチザン】大阪 堀江で岡山県児島発祥のヴィンテージデニムを

要約

アメリカ村と堀江のちょうど中間くらいに位置するステュディオ・ダ・ルチザンの大阪直営店。緑で塗られた正面玄関を入ると、木のぬくもりが感じられるおしゃれな店内に定番のジーンズや直営店ならではのシャツなど豊富なラインナップが揃っています。

目次

・古き良きヴィンテージに敬意を捧げ、日本の技術やユニークなエッセンスで新しい価値を創造

・ジーンズの履きこみサンプルが展示されるウッディーな店内

・世界に誇る職人技のジーンズ作り

・吊り編み機で編まれる世界でもっとも高品質のカットソー

・アクセス

古き良きヴィンテージに敬意を捧げ、日本の職人ならではの視点で新しい価値を創造する

フランスでデザインを学んだ一人のデザイナーによって1979年に設立されたSTUDIO D’ARTISAN & SA(ステュディオ・ダ・ルチザン)。現在50周年を迎える老舗は、日本のモノ作りの精神と伝統に、フランス仕込みの「クラフトマンシップ」を融合させ自由な発想で新しい何かを創造し続けています。

「職人工房」を意味する店名通りに、「自分たちの作品は、自分たちの手で作り上げる。」を信念に、現在も製品の全てを社長が目を配らせた岡山県「児島」の自社工場で腕利きの職人が裁断、縫製から加工まで全ての工程を一貫して作っているそう。

高度経済成長期の1970年代、「大量生産」「大量消費」が世の中のスタンダードになる中大量生産で作られたデニム生地にはない、旧式力織機で作られたセルビッチ(耳)のついたデニムが、独特の硬さ、ムラや色落ちなど失われゆく「ジーンズの本質」を備えていることを見出し、備後の地で探し当てた旧式の力織機を再稼動させ、ジーンズが最も輝いていたと言われる1950年代以前のヴィンテージデニムづくりをスタートしました。

ヴィンテージ・レプリカブームの火付け役となり、世界から注目を集めた、世界初の耳ありヴィンテージジーンズ「DO-1」は蓼正藍を用いた「カセ染め」という日本伝統のインディゴ染色技法で染め上げたムラ糸で織り上げたデニム生地で作られており、そのシルエットはフレンチワークパンツから発想を得たものです。

SD_DO1_00

http://www.dartisan.co.jp/news/2016/08/26/567/より

このジーンズは現在もフラグシップとしてラインナップされていますが、当時のものをただ忠実に再現するのではなく、最大の敬意を捧げながら、独自のエッセンスでオリジナルを凌駕する新しい価値を創造し続けた結果その人気が保たれていると言えます。

ヴィンテージレプリカジーンズが成熟した今日では、旧式の力織機によるジーンズも昔ほど珍しくはなく、堀江でも何店か取り扱うお店があります。しかし、ステュディオ・ダ・ルチザンは織りあがったそのままの状態の生地である「生機(キバタ)」を使うというところにデニムへのこだわりの本質を見出しているのです。

通常であれば、織りあがったままの生地である「生機(キバタ)」は、生地が縮むのを防ぐための防縮加工などの工程を経て、穿き易く、扱い易い商品としての品質に仕上げられます。しかし一方で、加工によりジーンズの表面が均一に引き伸ばされ、ヴィンテージデニムが持つ独特の風合いや色落ちが失われてしまうのです。

このように一見デメリットであるデニムの縮みを、一本一本違った風合いを生み出してくれるデザイン要素として愛情をかけることができるのがヴィンテージデニムの良さでもあります。

また加工されたデニムで行われる「毛焼き」という加工がされていないので、ステュディオ・ダ・ルチザンでの製品には、生地の表面に産毛のような繊維の毛羽感が見られます。
この毛羽感がジーンズの表情をまた変えてくれるので、量産品と違ったものを履いている時間が湧いてきます。

http://www.dartisan.co.jp/library/library_11/より引用

さらにステュディオ・ダ・ルチザンのジーンズは、現代一般的な「シングルステッチ」ではなく、「チェーンステッチ」で裾を仕上げています。今となっては貴重な当時のアメリカのヴィンテージミシン「ユニオンスペシャル」で仕上げられたステッチは、履けば履くほど独特のあたりやねじれが生まれジーンズを育てている感覚を体験することができます。

http://www.dartisan.co.jp/library/library_11/より引用

ジーンズの穿き込みサンプルが展示されるウッディーな店内

可愛い豚の看板が目印です。ジーンズの

店内にはジーンズの穿き込みサンプルが常時展示されており、デニム好きのスタッフが、数ある生地やシルエットの中から、お客様のご要望にぴったりのジーンズを提案させて頂きます。

世界に誇るジーンズの製造技術

まず膨大なストックの中から、厳選された生地によって「原反(げんたん)」と呼ばれる織りあがった生地のロールが生み出されます。

  1. 裁断/Cutting
    幾重にも重ねられた分厚いデニム生地をパターンに沿って、寸分の狂いなく正確に裁断。
    入念な下準備と熟達した職人の腕によって、ジーンズに必要な細かいパーツが生み出されて行きます。
  2. 縫製/Sawing
    熟練の技によって一本ずつ手作業で縫い上げられるジーンズたち。
    緻密な縫製やステッチの美しい曲線は芸術の粋。
  3. 加工/Processing
    ワンウォッシュからユーズド加工まで、ジーンズに合わせて仕上げを行います。
    国内随一の加工技術と腕利きの職人を有する工場として、技術力でも世界から注目を集めています。
  4. 新品のジーンズはワンウォッシュの後、数ヶ月間洗わずに穿くと、
    デニムが自身の体型や動きを覚え、ヒゲ(太腿付け根部の色落ち)や
    ハチノス(膝裏部分の色落ち)がしっかりつき、より自分らしい色落ちとコントラストが楽しめま

戦後、洗濯されており、ユーズド故に柔らかく色落ちしている米軍の「放出品」ジーンズから始まった日本のジーンズの歴史。
新品のジーンズが登場しても、日本人にとってのジーンズはあくまで「洗濯された柔らかいジーンズ」にあったので日本のジーンズの「洗い加工」技術が進化を遂げ、日本におけるジーンズの洗い加工を黎明期より支えてきたステュディオ・ダ・ルチザンの生産拠点である岡山県児島の工場の腕利きの職人の技術力は世界をリードしています。

http://www.dartisan.co.jp/library/library_9/より引用

工場での洗いの工程

  1. ストーンウォッシュ/Stone Wash
    石の摩擦を利用し、生地の表面を物理的に削り色落ちさせます。
    使用する石の種類や大きさによって仕上がりの表情は大きく変わります。
  2. シェービング/Shaving
    サンドペーパーやブラシを用いて、生地を削り色落ちさせていきます。
    ヒゲ加工では「ヒゲ台」と呼ばれる型に生地を当て、削ることでジーンズのヒゲを表現していきます。
  3. サンドブラスト/Sand Blast
    高圧噴射機で砂を吹きつけ、生地の表面を削ります。
    デニムを白く変色させたり、太股やお尻の色落ち、グラデーションを表現します。
    砂の中から浮かび上がる色落ちしたデニムは、ジーンズにおける「サンドアート」です。
  4. 吹きつけ/Spray
    専用の噴射機で、樹脂や染料を吹きつけます。
    生地のコーティングから、部分的な汚しまで、カートリッジを取り替えあらゆる加工に対応します。

家でジーンズを洗うには?

  1. ボタンジッパーを閉めて裏返すことで、型崩れと不自然なあたりを予防します
  2. 新しいジーンズの場合は、洗濯機に入れる前にぬるま湯に一時間ほどつけて糊を落とします
  3. 裏返したジーンズを丁寧にたたみ、洗濯機にたっぷりの水を入れて洗ったら、しっかり脱水します。
    *洗剤は使用しないか、ジーンズ専用品を使いましょう
  4. 生地のシワをしっかり伸ばして、裏返しのまま天日干しして完成

吊り編み機で編まれる世界でもっとも高品質のカットソー

1960年代以前のTシャツやトレーナーは全て筒状に生地を編み上げる「吊り編み機」と呼ばれる機械で生産されていましたが、天井から吊られた機械と糸によって、糸と生地そのものの重さを利用し、生地に余分なテンションをかけず、ゆっくりと時間をかけて編むので「1時間に約1メートル」しか編みあげることができず、大量生産に対応できなくなったことから、次第に影が薄れていきました。現在は世界で唯一、和歌山県で稼働している「吊り編み機」のみとなっており、現在は当時のカットソーは「ヴィンテージ」と呼ばれ、ステュディオ・ダ・ルチザンが次の世代へと伝えなければ消えゆく運命にあります。

一方で、50年以上前のTシャツやトレーナーが今現在もヴィンテージとして古着屋などに置かれ、そのクオリティーの高さをを保ち続けていることからも分かるとおり、独特の風合いと時代を越えうる圧倒的丈夫さが評価できます。

壊れたり劣化した機械も丁寧に保管し、部品どりしながら使用してきた「吊り編み機」は現在、僅か300機程度。「1時間に約1メートル」という生産効率なので生産できる数はますます限られてきています。

この希少な生地を、アメリカ製ミシンの名機「ユニオンスペシャル」で丁寧に仕上げることで、現在は古着でしか手に入らないレアアイテムを復活させています。

 

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コソッと泥染Tシャツ入荷してます〜! #ダルチザン大阪店

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生地の生産から「吊り編み機」の修繕やメンテナンスまで全てを行うことができる職人さんの技術は、ぜひ後世にも残していってほしいです。

アクセス

住所
〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1丁目11-9 SONO四ツ橋ビル1F

営業時間
11:00~20:00
定休日:年末年始(12月31日、1月1日等)
※状況によっては営業時間短縮・休業する場合があり

お問い合わせ
電話:06-6543-6265
メール:darti-osakashop@dartisan.co.jp

まとめ

ヴィンテージのこだわりジーンズもさることながら、昔ながらの上部で分厚いカットソーは男心をくすぐられるアイテムです。その品質の高さとこだわりをぜひ一度お店で体験してみてください。